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Posted date:2015.07.07

【疑問】電子書籍ってどのくらい売れるの?【ぶっちゃけ】

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「そもそも、電子書籍って何?」「どうやって読むの?」「どこで買うの?」最近、そんな質問を頂くことが増えました。そこで、電子書籍の企画、制作、販売管理を行っているピッチコミュニケーションズのスタッフが、電子書籍の基本の”キ”から掘り下げて行きたいと思います。

 

電子書籍

©zhao! photo by flickr

 

最近、個人、企業の方問わず、セルフパブリッシングを望む方たちから、次のような質問を受ける機会が増えてきました。

 

「電子書籍って、ぶっちゃけどのくらい売れるの?」

 

この質問に答えるのは「非常に難しい」というのが正直なところ。作品によって当然のごとくばらつきがありますし、値付け、どの書店で売るかなど、売り方によっても大きな差が出てくるからです。もちろん、名のある作家さんと、無名の個人の方では、売れ行きに大きな差があります。

 

「すごく売れる!」 「全然、売れない……」

 

実際、ネット上では、そんな両極端な意見が散見されます。

(正体不明の情報商材には、「よく売れる!」みたいなことがよく書かれています)

 

電子書籍はどのくらい売れるのか

 

それでも、「どの程度売れるのか」「どのように販売部数が伸びていくのか」という問いに対して、大まかな答えをお話しすることは可能かもしれません。これは、ピッチコミュニケーションズだけではなく、出版、流通、書店関係者の証言、ニュースなど、さまざまな情報ソースをまとめたものとなりますので、参考にしていただきたいと思います。大きくまとめると、次のふたつになります。

 

 ①日本では有料タイトルの電子書籍(出版社が出したタイトル、セルフパブリッシング作品両方含む)は、1000部売れれば「よく売れた方」だと評価される。

 ②日本では出版社が出したタイトルの場合、紙の本の10分の1程度が売れる。

 

このふたつの事例を見ると、おもしろいことが分かります。現在、出版業界では、紙の単行本を初版で1万部以上を刷るということはあまり多くありません。有名作家さんのものともなれば話は別ですが、基本的にはそれ以下というのが通常でしょう。推定では平均で3000冊から5000冊ということになっているようです。

 

電子書籍が、紙書籍の10分の1くらいが売れるという指摘を鵜呑みにしてみます。すると電子で1000部売れるということは、紙にすると1万部売れる計算になる。100部であれば、1000部相当、500部であれば、5000部相当ということです。

 

これらを踏まえると、紙で1万部売れる作品はそれほど多くない=電子書籍で1000部売れればよいほうだという結論は、どこか共通点が見えてこないでしょうか。この、①と②は別の関係者から聞いた話ですが、それにしても奇妙な一致です。「日本で電子書籍がどれくらい売れるのか」という質問に対しては、そのような数字を目安にしてもらえればよいかもしれません。

 

(逆に電子書籍でセルフパプリッシング販売したオリジナル作品が1000部売れるということは、紙で1万部相当のインパクトがあると考えることができるのでしょうか……。ここは、あまり迂闊に答えることができない点なので、結論は保留したいと思います)

 

注意したい点は、「セルフパプリッシングで1万部ダウンロードされれば、印税が○○円入りますよ」など、謳う業者には気をつけなくてはならないということ。なかには、電子書籍で1万部以上売れる作品があるかもしれませんが、まずほとんどあり得ないでしょう。もし、コンスタントに電子書籍で1万部が売れるのであれば、出版社もこぞって電子書籍オリジナル作品を出しにかかるはずです。そのような業者は、何かしらの意図を持って誇大に宣伝している可能性が高いでしょう。

 

こうして見ると、「意外と電子書籍ってしょぼいっすね」という意見が出てきそうです。たしかに、その指摘は間違っていません。実際、セルフパブリッシングで新しい書き手が増え、作家生活ができる人々が急激に増えるかと問われれば、現在の日本の電子書籍市場ではそれは難しいというのが率直な意見です。

 

ただ中には、以下のような方たちが実際に日本います。下記の方たちは、セルフパブリッシング(主に小説や漫画)で、すでに数千部以上を売った実績を持っているそうです。

 

マンガ家の鈴木みそさん

http://news.ameba.jp/20140408-398/

 

早稲田出ててもバカはバカ』の作者・円山嚆矢さん

http://www.huffingtonpost.jp/storysjp/amazon2_b_7240196.html

 

SF小説『ジーン・マッパー』の作者・藤井太洋さん

http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1503/18/news017.html

 

現在、世界的に1億部が販売され、映画も大ヒットしている『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の原作は電子書籍だそうです。作者の名前はE・L・ジェイムズという方。1億部……。 セルフパブリッシングで億万長者……(汗)。決して、ピッチコミュニケーションズで誇大にセルフパブリッシングを宣伝したい訳ではないので悪しからず。ただ実際に、そんな人がいるのかと考えると驚きを隠せません。

 

1億本の内訳がすべて、電子書籍ではないのは明白です。むしろ、電子版は少ないでしょう。ただ、電子書籍で作品を出したことにより、人気に火が付き、現在のような結果になっているということは、疑いようのない事実でしょう。

 

前出の『ジーン・マッパー』も電子書籍で発売された後に、紙の書籍として出版社から出版されています。これまでは「紙から電子」というのがお決まりのパターンでしたが、これからは「電子から紙」というのもあながちあり得ない話ではないということです。

 

また、セルフパブリッシングで発売された電子書籍の売上は、販売部数だけで決まるのではありません。当然、価格によって変動します。(書店によって、印税率が変わりますが、詳しいことは後日書かせてください)

 

セルフパブリッシングのよいところは、価格を自分で設定できるところ。作品に適切な金額を反映できれば、印税収入を高めることができます。

 

基本的に、amazonをはじめとする書店は、低価格路線を支持しているようです。安ければ売れるという発想と、書店同士の価格競争があるからです。が、個人的な意見としては、あまり作品を安売りするのも、どうかという疑問があります。低価格だからといって売れるとは限りませんし、高価格だから売れないという訳でもありません。

 

何事もそうだと思いますが、作品の質や、想定される読者層の性質にマッチしていれば、適性な価格で取引されるかと思います。実際、ピッチコミュニケーションズで販売されているタイトルの中で、売れている本は900円から~600円程度の作品で、それよりも安い本であっても全く動かないタイトルがあります。(ちなみに、前出の『早稲田出ててもバカはバカ』は1250円だそうです。現在、電子書籍で1000円は売れないという話もありますが、その定説を覆しています)

 

電子書籍はどのくらい売れるのか

 

さて、「電子書籍はどれくらい売れるのか?」という質問に対して、補足までに書いておかなければならないことがあります。それは、「電子書籍はどのように売れるのか」という質問に対する答えです。

 

これは、多くの関係者が指摘していますが、紙の本の売れ方と、電子書籍の売れ方には大きな違いがあります。すべてがそうという訳ではありませんが、顕著な傾向があるようです。それを一言でまとめると、次のようになります。

 

・紙は「社会的なイベント」の挙動をいち早く捕まえて作品にして販売してきた。スクープなどはその典型。

 

・対する電子書籍は、「社会的なイベント」が起こる以前に出ていたタイトルが、イベントの発生とともに何回もコンスタントに売れて行く。

 

 

まず、紙の本の場合は、初動が大きなウェイトを占めます。これは、流通や広告運用や、本屋さんでの在庫管理や棚、スペースの実情などとも大きく関連してきます。端的に言うのであれば、売れない本は書店からすぐになくなってしまうので、最初の数週間にどのくらい売れたかが重要になってきます。もちろん、数年後に火が付くなどの例外もありますが、出刊点数が増え続けている日本にあっては、数週間~数カ月で書店から姿を消す作品が圧倒的に多くなる傾向があります。ですので、重要なのは作品を出すタイミングということになります。

 

一方、電子書籍は少しづつコンスタントに売れたり、社会的なイベントが起こった時にその都度売れる傾向があります。例えば、中東で事件が起きたとします。そのことがTVや新聞で報じられると、社会的な関心が高まり、知りたいという人が増え、購入に繋がるという流れです。それまで誰も関心がなかった分野に、急に関心が生まれることで、売れていなかった作品が売れはじめるということです。電子書籍が紙と異なるのは、在庫や書店の棚が必要ないこと。廃刊のリスクが非常に少ないと言い換えることもできます。常にオンライン上にデータがあるので、作品がなくなるということがほとんどないのです。

 

佐村河内氏のゴーストライター騒動があった時も、関連書物が一気にランキングトップに踊り出ました。イスラム国の邦人拉致事件の時もそうです。記憶が曖昧ですが、おそらくそれ以前から販売されていた関連作品が一気に売れ始めたのです。

 

この「社会的なイベント」は、何も大事件とかスキャンダルに限りません。講演会や、友人との食事会、ブログなどでの宣伝なども、社会的なイベントの範疇に入ると思います。弊社で扱っているタイトルは、著者と社会(読者)に接点が出来た際には、必ずと言っていいほど数冊売れています。

 

ですので、「電子書籍がどれくらい売れるか」は、「社会的なイベントがどれだけ起きるか」「社会的なイベントをどれだけ起こすことができるか」とイコールになってくるというのが経験的に言えることです。

 

この「電子書籍をどう売るか」については、執筆にかかるコストの問題とも関連してきますので、次回以降、改めて書いていきたいと思います。

 

(取材・文 河 鐘基)

 

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